切手の豆知識


第1回「切手の語源」

▼日本最初の切手
       






手   
竜文切手 48文
日本 1871年
竜文切手 100文
日本 1871年
竜文切手 200文
日本 1871年
竜文切手 500文
日本 1871年
ペニーブラック
イギリス 1840年


 日本で最初の切手が発行されたのは、郵便が始まった1871(明治4)年3月1日のことであった。48文、100文、200文、500文の4種類である。当時のカレンダーは旧暦なので、3月1日は現在の4月20日となる。したがって、現代では毎年4月20日を「郵政記念日」とし、各郵便局において、記念行事が取り行なわれている。
 世界最初の切手は、1840年にイギリスで生まれた。従来の郵便制度では、料金の支払い方法が不便であったので、もっと簡単な方法はないものか、検討している中で誕生したのである。日本の場合、近代郵便制度の創設とともに切手が登場したので、誤解されやすいが、世界最初の切手は、近代郵便制度の誕生とともに生まれたのではない。近代郵便制度の発展の中から生まれたのだ。
  イギリスにおいて、切手は当初、ラベルと名付けられていた。切手シートの余白部分に、はっきりとラベルと記されている。しかしながら、この名前は普及しなかった。今日、切手のことは、スタンプと呼ばれている。スタンプとは、切手が誕生する以前、郵便物に押されていた、郵便を引受けたことを示す印章のことである。この郵便制度の中で、とても馴染み深いスタンプという言葉が、切手を示す言葉として、広く用いられるようになった。
  日本では、なぜ切手と呼ぶのであろうか。日本の近代郵便制度の創始者である前島密(まえじまひそか)が、「切手」という言葉を当てたのである。お金を払って得た権利を証明する紙片のことを、日本では古くから切手と呼んでいた。切符手形(きりふてがた)という言葉を短くした言い方である。切手という言葉は、当時の人々にとても身近な言葉であった。
 それでは、はがきという名称の由来はどうであろう。はがきは、紙の隅の覚え書きを示す端書(はしがき)が語源である。この言葉をもとに、前島密が「葉書」の文字を採用したと推定される。今日、大きな葉に文字が書けるので、タラヨウノキを郵便を象徴する木と、郵政は指定している。はがきの語源であるからではなく、はがきは「葉書」と表記されることから、この木が選ばれたといえる。
 最後に、郵便という言葉について紹介する。郵の字は、人間の脚力によって文章を運ぶことを意味する(馬脚によると駅の字)。便の字は、音信、信書、手紙を示している。

2005/05/28




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