切手の豆知識 |
第3回「パンダ切手」
▼世界自然保護基金(WWF)のロゴ・マーク入り切手 |
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チンバンジー シエラレオ 1983年 |
地中海ムフロン フランス 1969年 |
寄付金を集めるために、切手を発行する場合がある。郵便料金を示す額面以外に、「+」表示とともに数字が示された切手が、それにあたる。寄付金付切手と呼ばれるもので、「+」表示とそれに続いて示された数字が、寄付金となる。 最近では、このスタイルとは違った、寄付金を集める役割を持った切手も発行されている。日本では、このスタイルの切手は、まだ発行されていない。 1983年5月19日、アフリカ西海岸の小国シエラレオネから、チンパンジーを描いた4種類の切手が発行された。この切手の右下部分には、パンダをデザインした、世界自然保護基金(WWF)のロゴ・マークが表示されている。WWFが、切手の図案の中に、パンダのロゴ・マークの表示を許可・公認したものである。この切手の売上の一部が、WWFに寄付されるという、画期的なシステムの第1号切手である。 WWFのパンダのロゴ・マークが、初めて切手の図案に登場したのは、1969年にフランスが発行した、自然保護を周知する切手であった。1971年にはオランダが、パンダのロゴ・マークを描いたWWF創設10周年記念切手を発行した。これらを含めて1982年までに、25ヵ国から29件136種の切手が存在する。ただし、売上の一部が寄付されたわけではない。 なぜ、1983年のシエラレオネが発行した切手以降、パンダのロゴ・マークを描いた切手の売上の一部が、WWFに寄付されることになったのか。これは、想像であるが、著作権の管理が背景にあると考えられる。小国において、欧米の企画エージェント会社と組んだ切手の販売は、大きな収入源である。動物を描く切手に、パンダのロゴ・マークが入っていると、よく売れたのであろう。WWFにとっては、無許可でロゴ・マークを使われるのは、不愉快なことであろう。双方の話し合いによって、パンダのロゴ・マークを表示した切手の売上の一部は、WWFに寄付されるという、画期的なシステムが誕生したといえる。 スイスのGroth AGが1998年に刊行した『WWF Stamp−Caralogue』を見ると、1983〜98年までに、175ヵ国(地域を含む)232件920種の切手が発行されている。 2005/05/28 |
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