切手の豆知識


第4回「シール式切手」

  
バッグズ・バニー
アメリカ 1997年
地図型変形切手
シエラレオネ 1964年
ハローキティ
日本 2004年


 切手は、郵便システムが便利に、簡単に利用できるようにという、改革案の中で生み出されたアイテムである。したがって、使う人が面倒ではないように、切手はその誕生とともに、ある工夫が施された。切手を手紙に貼るときに便利なようにと、裏面に乾燥糊が引かれていたのである。出かけた先からでも、バラにした切手(当時は切手を切り離す小穴は無く、はさみで切っていた)を持ち歩いていれば、すぐに貼って郵便を出せる。舌で切手の裏面を湿らせれば、手紙に貼れるのである。誕生当初から、切手にはシールの要素があった。ちなみに、日本の最初の切手には、乾燥糊は引かれていなかった。引かれたのは、切手誕生の1年程後からである。
 今日、シールといえば、台紙からはがして、そのまま貼れるセルフ糊タイプの小紙片をいう。この方式を採用した切手は、1964年に初めて、アフリカ西海岸に位置する小国シエラレオネで発行された。アメリカのシール会社が作ったものである。当時、一風変わった工夫が施された切手(目新しい切手―紙ではなく絹に印刷した切手など)を発行すると、話題となり、売り上げが良く、小国は外貨を稼ぐことができた。このような背景から、セルフ糊タイプの切手が登場したのである。
 現在では、セルフ糊タイプの切手(シール式切手と呼ぶ場合が多い)は、目新しい切手とはいえない。1990年代に入り、シール式切手はおよそ60ヵ国・地域から発行されている。アメリカでは、1974年に登場した。評判は良くなかったが、1995年以降は、約50%の切手がセルフ糊タイプという現状である。差し出す郵便物が少量の場合、従来の乾燥糊タイプより、セルフ糊タイプの方が切手を手軽に貼ることができる。また清潔という点も、このタイプが世界的に増えている理由であると考えられる。ただし、はがした後の台紙がゴミになる、との批判もある。
 日本では、1989(昭和64)年に初めてセルフ糊タイプの切手が登場した。最近では、市販のシールと同様に、変わった形のユニークな切手を、このセルフ糊タイプで盛んに発行している。手紙を郵便で手軽に送る楽しさを、多くの人に伝えたいという意識が、そこには感じられる。

2005/05/28




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