切手の豆知識


第10回「クリスマス切手」

カナダ 1898年 オーストリア 1977年


オーストリア 1937年 キューバ 1954年 


 キリスト教が生活の中に根ざしている国や地域は、日本の年賀状のように、クリスマス・カードを贈る習慣が、昔から盛んであった。
 クリスマスを意味する「Xmas」という文字が入った切手は、1898年にカナダが世界で初めて発行した。この切手は、イギリスとその連邦地域の郵便料金を均一にしたことを記念するものであった。切手の発行時期が、ちょうど12月のクリスマス・シーズンにあたり、「Xmas」という文字を入れることによって、クリスマス・カードの郵送に大いに利用してもらおうと考えたのであろう。
 クリスマス・カードの郵送に使ってもらうことを考えた、クリスマスに相応しいデザインの世界最初の切手は、1937年にオーストリアが発行した。グラスにバラの花を生けた図の両脇を、黄道12宮の星座を表わすマークが囲んでいるデザインである。しかし、これ以降、毎年の発行とはならなかった。
 1960年代になると、ヨーロッパやアメリカの国々を中心に、10月から12月にかけて、クリスマスの雰囲気が伝わるデザインの切手を、毎年発行するところが増えている。アメリカは1962年から、イギリスは1968年から、毎年「クリスマス切手」という名目の切手の発行が続いている(2000年のアメリカは、1999年のクリスマス切手が売れ残ったので、それを利用してもらうために、新規の発行が無い)。切手発行の背景には、クリスマス・カードを送る郵便物にこの切手を貼ってもらい、郵便の利用を増やそうという意図があったと考えられる。近年では、アフリカやカリブ海、太平洋の小国や地域からも、クリスマス切手が数多く発行されるようになった。これらの発行国は、クリスマス・カードを郵送するためではなく、多くの人にお土産品として購入してもらい、外貨を稼ごうとしているのであろう。
 クリスマス切手の図案には、サンタクロースがよく取り上げられている。サンタクロースを描いた最初の切手は、キューバが1954年に発行したものである。南半球の国・地域のクリスマス・シーズンは夏であることから、オーストラリアが1977年に発行したクリスマス切手には、サーフィンをするサンタクロースが描かれている。日本では、クリスマス切手という名目での切手の発行はない。しかし最近の切手の中には、クリスマスを意識したデザインのものもある。さらに2005(平成17)年10月21日には、日本で初めてのクリスマス切手の発行が予定されている。

2005/05/28




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