切手の豆知識


第12回「銘版」

▼銘版部の拡大図

「国立印刷局製造」
▼銘版部の拡大図

 「COURVOISIER」
一般的な日本切手の銘版 2004年
切手シート下部の右から2列目
スイス切手の銘版 1997年
切手の右下の余白部分に示されている
民間企業クールボアジェ社製のもの


 お菓子や清涼飲料水の容器に、製造会社名が表示されているのと同様に、切手にも製造した部署(または会社)の名称が表示されている。これを、「銘版(めいはん)」と呼ぶ。日本切手の場合は、多くは、切手シート下部の余白部分(耳紙)の1ヵ所に見られる。しかし、世界各国・地域の切手が、すべて日本と同じであるとは限らない。むしろ、日本のような表示形態の方が少ない。中国は、切手シートの余白部分の数ヵ所に、「銘版」が印刷されている。スイスやデンマークなど、ヨーロッパの大部分の国・地域では、1枚1枚の切手の下辺部分に「銘版」がある。
  「銘版」は、切手がどこで製造されたのかを示している。日本切手は、「銘版」から、お札の製造と同じ部署である、国立印刷局で作られていることがわかる。郵政の組織の一部で切手が製造されているわけではない。また、最近では、民間企業の凸版印刷株式会社や海外の印刷会社も、切手の製造を請け負っている。そこで作られた切手の「銘版」には、その切手を製造した会社名が記されている。日本切手に示された「銘版」のタイプ(書体の違いを含める)は財務省印刷局を加え、18種類になった。
 海外では、民間企業が切手を印刷している場合が多い。また、必ずしも自国の切手を自国で製造しているとは限らない。たとえば、イギリスの場合、自国の民間印刷会社の他に、オランダの民間印刷会社でも切手が製造されている。これは、オランダのこの会社が高い印刷技術を持ち、さらに製造コストが安いからだと、思われる。なお、日本の国立印刷局(当時の大蔵省印刷局)では、一時期、タイやフィリピンの切手を製造したことがある。
 「銘版」を確認することによって、どこので作られた切手であるのかがわかる。さらに民間企業にとっては、「銘版」を示すことによって、社名の周知と製品の品質の良さを、全世界にアピールできるといえよう。
 

2005/05/28




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