切手の豆知識 |
第14回「切手カタログ」
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スコット世界切手カタログ (2005年4月発行) |
日本切手専門カタログ (2004年11月発行) |
さくら日本切手カタログ (2005年4月20日発売) |
ある一枚の切手があったとする。この切手は、いつ、どこの国・地域で、何を目的に発行されたのか。また、描かれている図案は何なのか。いくらの料金の切手なのか。この切手は、市場で、どのくらいの値段で売られているのか(どのくらいの価値があるのか)。いろいろと知りたいことが出てくる。この様々な「?」に、何かしらの答えを導いてくれるものが、「切手カタログ」である。 「切手カタログ」の歴史は古い。1840年にイギリスで世界最初の切手が誕生してから、約20年後の1861年9月には登場している。コレクションとしての切手売買が、ちょうど盛んになっていた時代である。フランスのストラスブールに住む人物が、切手収集家の友人たちに個人的に配布した手書きのものが、最初の「切手カタログ」といわれている。このカタログは、ほとんど残っておらず、大英博物館のクロフォード文庫に、その一部が保存されているそうである。市販された最初のものは、パリの公務員、アルフレッド・ポティケーが編集し、1861年12月に刊行された、「カタログ・デ・タンブル=ポスト・クレエ・ダン・レ・ディーブル・ゼタ・デ・グロブ(世界諸国において製造された郵便切手のカタログ)」(全43ページ)とされている。このカタログも貴重で、大英博物館の図書館に保管されているものが知られている。 今日、世界中の切手をリストアップした「切手カタログ」は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの切手商が、それぞれ独自のスタイルで刊行している(全ての切手の図版が載っているわけではないが)。残念ながら、日本語で書かれたものはない。日本の切手収集家がよく愛用しているものは、アメリカのスコット社が刊行している、「スコット世界切手カタログ(通称)」である。毎年4月頃から9月頃にかけて、全6巻が順次刊行される。1巻およそ900ページもある(日本の切手商では、スコット社から取り次ぎ、5〜6万円で全6巻を販売している)。スコット社は、コレクションとしての切手売買を商売として、1863年に店を構えた。この時からの積み重ねで、「スコット世界切手カタログ(通称)」が、毎年刊行されているのである。イギリス、フランス、ドイツの切手商も、古くからの積み重ねがある。 日本の切手に限れば、毎年4月20日の郵政記念日(日本近代郵便誕生日)にあわせ、(財)日本郵趣協会がオールカラーの「さくら日本切手カタログ」(2006年度版 税込735円)を刊行している。また、日本切手の研究成果をまとめたカタログとして、毎年11月頃に「日本切手専門カタログ」(財・日本郵趣協会 2005年度版 税込3,600円)が刊行されている。 2005/05/28 |
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