切手の豆知識


第18回「小型シート」

日本最初の小型シート
日本 1934年
くじ付き年賀はがき末等景品
日本 1998年


 切手収集が人気であった1970年代までの頃、「小型シート」という言葉は、切手を集めていない人でも、ある程度理解できるものであった。しかし最近は、知らない人がほとんどである。
 日本では、新年の挨拶に年賀状を送ることが、国民的な行事である。多くの人は、郵便局で発売されるお年玉くじ付き年賀はがきを利用する。この年賀はがきのくじの末等景品(お年玉小型シート)が、いわゆる「小型シート」の形態である。最近ではに、この末等景品のことを知らない人もいるので、「小型シート」を説明することは、難しい。加えて、切手収集分野においても、「小型シート」の定義は世界的に曖昧なのである。
 切手は、何枚かがつながってセット組みされている。これをシートと呼び、郵便局の窓口ではシートを購入するか、必要枚数にあわせ、シートをバラばらして購入する。欧米では慣例的に、シートにセット組みされた切手の枚数が1枚から10枚のものを、「小型シート」とみる場合が多いようである。しかし、日本の記念・特殊切手の場合、10枚つながりで1つの切手シートになっているものが多い。「小型シート」とは、同一の切手の通常に販売される切手切手シートとは別に、特別に用意された記念の小さなシート、と考えられる。記念の名称などをシート地の余白部分に印刷し、何枚かの切手を組み合わせた、小さなサイズの切手シートと言えよう。アメリカでは、これらを「SOUVENIR SHEET(スーベニア・シート)」と呼んでいる。「記念シート」の意味である。イギリスでは、「MINIATURE SHEET(ミニチュア・シート)」と呼んでいて、日本はこの言葉にならって「小型シート」と呼んでいるようである。
 繰り返しになるが、世界的に「小型シート」の定義は曖昧である。アメリカとイギリスで呼び方が違うように、「小型シート」の概念は難しい。さらに近年は、各国の郵政が売上を伸ばそうと、切手シートの形態に様々な工夫を施すことが、頻繁に行われるようになった。シートの余白部分と、5、6枚の切手とを、つながった1つの図案にするのがその一例である。
 世界最初の「小型シート」は、皇太子誕生を記念してルクセンブルクが1921年に発行した、切手が5枚つながったものといわれている。日本では、1934(昭和9)年に発行された逓信記念日制定記念のものが最初とされる。「小型シート」は、記念品としての性格が強く、切手を切り離して郵便に使うことはあまり念頭におかれていない。切手を切り離すための小穴(目打)が、はじめからあけられていないものも多い。

2005/05/28




切手の博物館
〒171-0031東京都豊島区目白1−4−23
PHONE: 03-5951-3331 FAX: 03-5951-3332