切手の豆知識


第20回「カラーマーク」

トラフィックライツ
国際児童年
イギリス 1979年
日本最初のもの
国際文通週間
日本 1975年
気球型のカラーマーク
英女王金婚式
イギリス領ジャージー 1997年発行


 書籍が作られる場合、まずは大きな用紙の片面に、4〜8ページ分が印刷される。この用紙には、本が製本される時に切り落とされてしまう部分がある。しかし、この部分(以下 A部分)は、何も印刷されていないわけではない。たとえば、カラー印刷の本の場合、A部分には、正常に印刷されたかどうか、品質をチェックするための記号やマーク、色調などが、印刷されている。製本するときに断ち落とす部分を示した「トンボ」がある。各インクの色がズレないように見当を合せる、刷り合わせ管理用の「トンボ」がある。各インクの色の調子の良し悪し見るため、10〜14段階で濃淡を並べた「グレースケール」がある。色の脱色を検査する「カラーマーク」がある。印刷するための版を作った日時と責任者名、版の管理番号などがある。これらが、その代表例である。A部分には、優れた品質の印刷物を作るために、各種のデータが示されているのである。
 切手も印刷物であるから、このA部分が存在する。しかし、郵便局の窓口などで販売される切手シートは、すでにA部分が断ち落とされたものである。古い切手では、大きな用紙に印刷されたものを切手シートに裁断するときに、位置がズレて、「カラーマーク」などがシートの余白部分(以下 耳紙 と呼ぶ)に見えてしまっているものもあるが、これは偶然の産物といえよう。また、印刷機と裁断機の都合で、耳紙に「カラーマーク」が見えた状態で販売される切手シートも中にはあった。これらは、だんだんと、切手を集めている人に注目されるようになるのであった。
 1962年から、イギリスは、色の脱色を検査する「カラーマーク」を、A部分だけではなく、切手シートの耳紙の上にも印刷するようにした。この切手は何色で印刷されているのか、がわかる。これで、もっと切手集めを楽しんでもらい、もっと切手に興味や関心を持ってもらい、売上を伸ばそうという考えが読み取れる。イギリスでは、信号機のように見えることから、「トラフィックライツ」と呼ばれる。この試みをきっかけに、各国・地域で、「カラーマーク」を切手シートの耳紙に入れることが浸透していった。そして、各々の印刷所で、それぞれ独自の形状の「カラーマーク」が耳紙に印刷されている。日本では、1975(昭和50)年10月6日発行の国際文通週間切手に、初めてカラーマークが入れられた。
 「カラーマーク」は本来、印刷の色もれがないかをチェックするために入れられたものである。しかし、切手シートの耳紙に入れられた「カラーマーク」は、この印刷物の品質管理をするためのもとはいいがたいのである。

2005/05/28



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