切手の豆知識 |
第21回「連刷切手」
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日本最初の連刷切手 第2回国体 日本 1947年 |
世界最初の連続デザイン 世界青年フェンシング選手権 ポーランド 1957年 |
切手は、たいてい同じ種類の切手が何枚かつながった形で、郵便局の窓口に用意されている。この1枚の欠けもなくつながった形は、シートと呼ばれる。日本の場合、日常的に郵便局で販売されている小型の切手(普通切手と呼ばれる)は、基本的に1種類の切手が10枚×10枚の100枚つながって、1シートを構成している。記念切手の類は、通例、1種類の切手が2枚×5枚の10枚つながりか、4枚×5枚の20枚つながりである。しかし、中には例外もある。1シート内の切手が同一種類ではなく、何種類か含まれている場合、隣り合う切手が同一種類でないことが生じる。例えば、2種類の切手が1シート内に同数印刷されているとすると、異なる切手が隣り合う。この部分を、切手収集の世界では、「連刷(れんさつ)切手」と呼んでいる。異なった図案が「連」なって印「刷」されていることを意味した造語であろう。 誰がこの言葉を作り、どのように広まったのかは定かではない。海外では、「お互いにつながっている(joined together)」ことを意味する、「se-tenat(ス・トゥナン)」というフランス語で呼ばれる。英語圏の国・地域でも、この言葉が使われる。 世界最初の「連刷切手」はどれか、ということは難しい。世界最初の切手(1840年に発行された、イギリスの「ペニー・ブラック」)は、偽造防止の工夫から、1シート内全ての切手1枚1枚、左右の隅に異なったアルファベットがデザインされていた。1シートが240枚なので、細かく言えば、240枚が異なった切手となる。また昔は、切手製造過程のミスで、1シート内に異なる切手が混ざってしまうこともあった。「連刷切手」の中には、異なる種類の切手の図案同士がつながって、一つの絵となる連続デザインの形態もある。最近では、20枚の切手がつながって、一つの絵を構成しているものもある。 切手は、もともと、郵便料金の前払いを示すことが、主たる目的であった。ところが今日、切手はお土産品として販売されることが多くなっている。話題の事柄をテーマとした図柄や、人気キャラクターを取り上げたデザインの切手は、切手収集家のみならず、多くの人が購入する。切手を発行した政府は儲かるのである。この事を踏まえて考えると、1種類の切手を1シートの形で販売するより、何種類かの切手をつなげて1シートの形で販売する方が、見栄えも良く販売数も上がると思える。近年世界中で、1シートの中に何種類かの切手を含めた、「連刷切手」が多くなってきたのは、このような背景があるからだといえよう。 2005/05/28 |
切手の博物館
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