切手の豆知識


第31回「ピンセット、ヒンジ、マウント」

ピンセット ヒンジ マウント


 コレクション用の切手を取り扱うとき、できれば手で触る機会を少なくしたい。手の汚れや油分が切手に付いてシミの原因になったり、力を入れすぎて切手を折ってしまったりするからである。これらを避けるために、切手収集家は、先が平坦な切手用ピンセットを利用している。ドイツのA・ブンゲルツが1923年に著した切手収集用語辞典によると、切手用のピンセット(ドイツ語で「Pinzette」)は、1878年頃にライプチヒの時計工が製作したとある。「ピンセット」との呼び方は、フランス語の「Pincette」に由来する。英語では、「Tongs」(トングス)と呼ばれている。パン屋さんで、自分でパンを挟んで取るときに使う「トング」のことである。日本と呼び方が異なるので、イギリスやアメリカの切手収集家と交流するときには注意を要する。
 欧米の切手収集家の多くは、コレクションした切手をストックブックではなく、切手アルバムと呼ぶ加除式のノート(アルバムリーフ)に整理している。このとき切手は、アルバムリーフに直接貼り込むのではなく、「ヒンジ」と呼ぶ、乾燥糊が引かれた小さな紙片を利用している。この紙片は、1868年にフランスで誕生したといわれる。切手に大きな傷を付けずに、貼ったり剥がしたりができ、価格も安いことから、大変に普及している。コレクション用の古い切手には、裏に「ヒンジ」が付いたもの、その跡が残っているものも多い。しかし現在では、切手を傷めずに貼り込める、「マウント」を使用する切手収集家も増えた。それゆえ、ヒンジ付きやヒンジ跡が残っている切手は、「ヒンジ」跡が無い切手よりも安い価格で購入することができる。「ヒンジ」とは、英語の「Hinge」のことであり、蝶番(ちょうつがい)を意味する。
 切手を傷つけずにアルバムリーフへ整理するものとして、「マウント」は、多くの切手収集家に愛用されている。「マウント」は2枚のフィルムの間に切手を挟む方式で、フィルムの一方の裏側には乾燥糊が引いてあり、これによりアルバムリーフへ貼り込むのである。ドイツ人のハンス・ウィドマイヤーが、1949年に発明した。世界的に著名なドイツの切手収集用品メーカー・ハウイド社(HAWID)は、この人物が設立した会社で、社名の由来は、ハンス・ウィドマイヤーの「ハ」と「ウィド」からきている。このことから、「マウント」を「ハウイド」と呼ぶ切手収集家も多い。(財)日本郵趣協会が刊行している、切手を楽しむ雑誌『郵趣』の1976年11月号に、「マウント」とハウイド社のことが詳しく記されている。

2005/05/28



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