切手の豆知識


第33回「メータースタンプ」


郵便局で現在使用されている
基本的な印影
民間企業で現在使用されている
基本的な印影(ハスラー計器のもの)
PRが表記された例


 郵便局名、年月日、郵便料金が赤色で表記された、電車の切符くらいの大きさのラベルが、郵便物に貼られている場合がある(郵便物に、直接印刷されている場合もある)。これは、郵便局で販売された切手ではなく、郵便料金計器という機械で印字されたものである。このように郵便料金計器によって示された印影のことを、世界的に切手収集家は、「メータースタンプ(Meter Stamp)」と呼んでいる。日本では、郵便規則第45条において、大きさや形状、使用方法などが細かく定められており、郵便局では「証紙(しょうし)」と呼ぶ。
 郵便料金計器は、郵便物に郵便料金を示すマークを印字すると同時に、その郵便料金を記録する。差し出した郵便物の料金と数を計算して、郵便料金を徴収するための機械である。この機械は、1884年にイギリスにおいて特許が取得されたが、世界各国で正式に承認されたのは、1920年の第7回万国郵便大会議のときであった。日本では、外国宛て郵便物用の郵便料金計器が東京郵便局(現在の東京中央郵便局)に配備され、1950年9月1日から使用された。その後、配備される郵便局も増え、1953年からは国内の郵便物にも使用されるようになった。現在では、ほとんどの郵便局に、この郵便料金計器は配備されている。郵便局以外の民間企業等でも承認を受ければ(郵便規則第45条に基づく)、この機械を所持し使用することができる。
 郵便料金計器メーカーは9社あり、それぞれのメーカーで「メータースタンプ」の印影は異なる。また、同一社でも、時期によって異なる。メータースタンプを集めている収集家は、この9社の機械をそれぞれ、ナショナル(NCR)計器、ピツニーボウズ(P.B)計器、ハスラー計器、フランコタイプ計器、ユニバーサル計器、ポスタリア計器、サタス計器、フラマ計器、ネオポスト計器と称している。
 1960年代以降、官公庁や民間企業の多くが、切手を郵便物に貼って差し出すよりも、郵便物の数量管理や郵便料金管理の効率化を図れることから、この郵便料金計器を使用している。効率化の他に、広告媒体としての効用もある。郵便局名、年月日、郵便料金を示した印影の横に、使用者が宣伝したい文言やイラストを、表記することができるのである。映画会社は、配給する映画のPRに利用している。ちなみに、映画の切手を集めている人は、これら映画のPRが表記された「メータースタンプ」も収集対象という人が多い。(財)日本郵趣協会には、メータースタンプ部会という収集家グループがある。2000年12月には、詳細な解説書『日本のメータースタンプハンドブック 改訂版』を刊行した。

2005/05/28



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