切手の豆知識


第36回「切手のサイズ」



世界最大と銘打った
モンゴルの切手
モンゴル 2004年

メクレンブルク・シュウェリーンの切手(4枚1組) 
最小の切手の使用例
(1枚だけの使用)


 1840年にイギリスで発行された世界最初の切手、"ペニー・ブラック"の寸法は縦2.4cm×横2.1cmである。現在まで、郵便物に日常的に使われる世界の切手(普通切手)のほとんどが、このペニー・ブラックの寸法に準じている。日本の普通切手も、切手発行最初期は一定していないが、ヨーロッパの切手製造技術を会得した1876(明治9)年以降は、現在にいたるまで、縦2.6cm×横2.2cmの大きさが標準的である。確かな理由はわからないが、この寸法が、切手を製造する面からも、郵便に使用する面からも、大変に便利な大きさなのであろう。
 切手の本来的な役割は、差し出す郵便物の郵便料金をすでに支払ったか否かを、郵便局に示すことにある。しかし、19世紀末から20世紀初め、郵便網が世界に広がるとともに、各国・地域の郵政当局は、切手が世界中の人の目に触れるアイテムであることに気が付いたのである。それまでは紋章や国王(女王)の図案であったが、多くの国や地域で、風景など絵画的な図案の切手が発行されるようになった。切手に絵画的な図案を用いることで、切手にメッセージ性を持たせ、自国・地域のことを内外に広くアピールするようになった。また、従来の普通切手を横に2枚並べた大きさのものなどが、徐々に増えてきた。
 1950年代後半以降、特に社会主義国や発展途上の小国は、見栄えのする切手、話題の事柄をデザインした切手を、数多く発行するようになった。これは、郵便に使うためというより、切手で外貨を獲得しようという狙いといえる。さらに、はがきほどの大きさの切手も登場した。今日、切手はお土産品・記念品と化しているといっても、過言ではない。モンゴルは2004年6月3日に、「世界最大の切手」と銘打った切手シートを発行した。曼荼羅を描いたシール式の切手で、台紙からはがした大きさは縦18.6cm×横13.5cmもある。
 多くの切手収集家が、世界最小の切手として認識しているのは、ドイツ北部の小公国であったメクレンブルク・シュウェリーンが1856年に発行した切手である。この切手の1枚の大きさは縦1.0cm×横1.0cmで、正方形をしている。もともと4枚1組で郵便に使うのが一般的で、2枚×2枚の4枚ブロックごとに、切り離すための切れ目が入っている。しかし、他の切手と貼りあわせて、1枚だけで使うこともできた。
 国際間の郵便ルールをまとめる国連機関の万国郵便連合(UPU)は、切手の大きさや形状について、次のように取り決めているが、罰則は無い。「郵便切手及び郵便料金納付の印影は、原則として縦及び横の長さがそれぞれ15ミリメートルを下回らず、かつ、50ミリメートルを超えないことを条件として、いかなる形態も有することができる。」通常郵便に関する施行規則の第3章 第306条(参照 郵政公報 平成12年12月22日 郵便関係号外 第5号)。                

2005/05/28



切手の博物館
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