切手の豆知識


第16回「額面」

額面が「A」の切手
アメリカ 1978年
額面が「1st」の切手
イギリス 1989年


 切手には、その切手が使える値段、いわゆる効力を発揮する料金が示される。これを、 「額面(がくめん)」と呼ぶ。何円分の郵便料金を前払いしたかを示す値段が、切手には必ず表示されているということである。この「額面」分が、郵便料金として通用する。
 現在、日本で国内宛の手紙を出す場合、市販の手紙用の封筒で、重さが25gまでなら、郵便料金は80円である。この80円分を支払った証として、 80円分の切手を手紙に貼ることになる。したがって、切手は、80円を支払ったことが誰にでもわかるようになっていないと、混乱を生じる。 このような必要性から、切手には「額面」と呼ぶ、郵便料金として有効な値段が表示され、切手を購入する値段も、この「額面」と同一である。
  しかし、例外も若干ある。1998年開催の長野オリンピック冬季大会に際して、その大会費用の一部を集めるため、1997年に発行された「寄付金付切手」などである。 郵便料金以外に、「+」表示とともに、寄付金の額が示されている。この切手は、郵便料金として有効な値段に、寄付金の額が加算された値段で販売される。 「80+10」と表示された「額面」の切手ではあるが、90円切手として使うとことはできない。「80」は郵便料金としての「額面」であり、 「+10」は寄付金としての「額面」なのである。
 郵便料金を数字で示さない「額面」の切手も存在する。アメリカでは、郵便料金を値上げする日程が決定していても、値上げになる郵便料金が なかなか決まらないことがあった。郵便料金が決まってから、それに対応した新しい「額面」の切手を準備していたのでは、値上げ実施日までにこの切手の必要数を製造することができない、という事態が1978年に生じた。そこで、「額面」をアルファベットの「A」で表示した切手を製造し、 値上げになった郵便料金に対応させた。「A」=値上げになった郵便料金の「額面」ということである。この形式は、現在、「H」まで存在する。
 新しい郵便サービスとして、「額面」を数字で示さない切手を発行する国・地域が増えてきている。イギリスでは、国内の葉書、 手紙の郵便料金が同一で、配達の速さのランクにより、2段階の料金設定になっている。普通がファースト・クラス郵便で、少し遅いが料金が安いのが、セカンド・クラス郵便である。1989年以降、郵便料金の「額面」を、「1st(ファースト)」「2nd(セカンド)」と表示した切手がある。切手に示されたランクの郵便に、 永久的に使用できるのである。郵便料金が値上りしても、そのランクの郵便に使えるので、大変にお得ということになる。

2005/05/28




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