切手の豆知識


第27回「切手帳」

ゆうペーン ゆうペーン
ゆうペーンの表紙 各種


ペーン
Pane(ペーン)の例
切手の縁がまっすぐにカットされている


 切手は、郵便を簡単に利用するための一方式として誕生した。いつでも、どこでも、旅先からでも、郵便を利用できることを考え、切手というアイディアが生まれたのである。切手を持っていれば、手紙を出すとき、郵便局が閉まっていても問題はない。手持ちの切手を貼って、ポストに投函すればよいのである。したがって、切手は当初から、持ち運びが便利なように考えて作られた。
 このような背景のもと、もっと持ち運びが便利なスタイルの切手として、「切手帳」が登場した。何枚かのつながった切手が、手帳くらいの大きさの紙に挟まれたものである。表紙が付いた切手である。小冊子のような形態であることから、英語では「Booklet(ブックレット)」と呼ばれている。世界最初の「切手帳」は、1895年にルクセンブルクで登場した。日本でも、1906年に登場している。「切手帳」は、携帯に便利なものであった。さらに、第2次世界大戦後は郵便の機械化が各国で進み、ヨーロッパやアメリカでは、切手を販売する自動販売機が普及した。この自動販売機で売るにも、「切手帳」は適応したスタイルである。
 「切手帳」は、携帯に便利なこと以外にも、良い面があった。「切手帳」の表紙は、優れた広告媒体としても利用された。フランスでは、「切手帳」の表紙に、衣料メーカーが広告とともに服地見本まで付けたものが存在する。広告ではなく、コレクターズ・アイテムとして、楽しいイラストや写真を印刷した表紙の「切手帳」を、盛んに発行する国・地域もある。日本でも、観光名所近くの多くの郵便局が、地元の「ふるさと切手」をきれいな表紙でカバーし、「切手帳」のスタイルで販売している。これらには、「ゆうペーン」という名称が付けられている。「切手帳」は基本的に、切手をはさんだ表紙と中身の切手とで構成される。中身の切手(バラになっていない状態)のことを、切手収集家は「Pane(ペーン)」と呼ぶ。一定数に区切られた切手という意味を持つ。
 「ゆうペーン」という名称は、切手収集家の組織である(財)日本郵趣協会が、1986年に切手展の記念品の「切手帳」の愛称として付けたことに始まる。翌年からは各郵便局が、地方郵政局(現在は支社)承認の整理番号入りで、様々な記念品、お土産品としての「切手帳」、いわゆる「ゆうペーン」を発売するようになった。今日でも、各地で、美しい表紙、楽しい表紙の「ゆうペーン」が発売されている。

2005/05/28



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