切手旅の第9回目は桜の名所、奈良県の吉野山です。
ご紹介する切手は、1991(平成3)年発行のふるさと切手奈良版「奈良と太平記」から「吉野の春」です。
吉野山ってどんなところ?
今年の春は暖かい日が続き、あっという間に桜前線が過ぎていきました。みなさんはお花見、できましたか? 桜の下での飲食はできませんが、ゆっくりと花を愛でる気持ちは忘れたくないですよね。
さて、花見の名所は数多くありますが、古来より格別の絶景とうたわれた場所といえば、奈良県吉野山が挙げられます。シロヤマザクラ3万本が、下千本、中千本、上千本、奥千本と、高さに応じて山を染め上げていきます。修験道の聖地でもあり、2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。
様々なサクラ色が山を彩る春の吉野山は、一度は見ておきたい絶景といえるでしょう
吉野が桜の名所となった端緒は、今から1300年ほど前のこと。修験道の開祖・役行者が修行の末に蔵王権現を感得し、その姿を山桜の木に刻んで祀ったことによります。修験道が盛んになるにつれ山桜は御神木として扱われるようになり、信仰の証として献木され続け、桜の山となりました。
シロヤマザクラの花は白から淡いピンクで、花と同時に開く葉芽が赤みを帯びています。そのため遠目に見ると、白・ピンク・赤の桜色のグラデーションとなり、実に変化に富んだ景観となります。
かつて豊臣秀吉が、徳川家康や前田利家、伊達政宗などの武将と共に、総勢5000人を連れて催した吉野の花見は、山の斜面に咲く桜すべてを独り占めするダイナミックな宴でした。一目で無数の桜を眺めることができるため、「一目千本」と呼ばれるこの贅沢な眺めこそ、吉野山の桜の真骨頂といえるでしょう。現在も数名の桜守が、絶えず桜の手入れを続けているからこそ、この景観が保たれているのです。
山を丸ごと眺めて楽しむのが吉野山のお花見です
そして、吉野山のもう一つの特徴が、歴史上の大きな出来事の舞台としてたびたび表れること。都で地位を追われた貴人が復活を誓って籠る地は、決まって吉野といってもいいかもしれません。壬申の乱の大海人皇子しかり、源義経と弁慶・静御前しかり、後醍醐天皇の南朝しかり…。こうした歴史がまた、再生や悲哀などのフィルターを吉野に掛け、人の心を魅了するのだと思います。
幾重にも重なる歴史、信仰が生み出す神秘性、そして桜の美しさに惹かれ、吉野山に杖を引き、作品を残した歌人文人は枚挙にいとまがないほど。
「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」の句で知られ、奥千本に庵を結んだ西行法師をはじめ、室町時代には頓智で有名な一休禅師も桜の名所として吉野を挙げています。
江戸時代には、松尾芭蕉や本居宣長、頼山陽らが訪ねています。「切手旅」第1回でもご紹介した松尾芭蕉は、またもその絶景に言葉を失い、とっさに句を詠むことができずに悔しがっている様子が『笈の小文』に記されています。意外にも感動しやすい性質なんですね。
明治時代以降は、正岡子規、島崎藤村、田山花袋、柳田国男、与謝野晶子・鉄幹、志賀直哉、谷崎潤一郎、折口信夫、和辻哲郎、吉川英治、井伏鱒二、亀井勝一郎、白洲正子、内田康夫…と、そうそうたる歌人文人、作家たちが吉野山を旅し、逗留し、作品を残しています。ゆかりのある作品を読むだけでも、それぞれの心にある吉野が読み取れそうで、興味を引きます。
桜と杉のコントラストは、吉野山の歴史の陰と陽を表わしているかのよう。
幻想的な光景を撮影するカメラマンの姿もよく見かけます
いかがですか?
たんに桜の名所というだけではない吉野山の魅力は、どこまでも深掘りできそうな歴史と人の想いの集積にあるのかもしれません。吉野山を訪ねるなら、桜のほかに何かひとつキーワードを決めて廻ると、ぐんと景色の解像度があがるかもしれませんね。
「奈良と太平記」切手ができるまで
では、切手の概要をみていきましょう。
1991年10月25日に発行された、ふるさと切手奈良版「奈良と太平記」は62円の2種連刷で、吉野の秋と春が題材。グラビア6色刷で、原画作者は日本画家の志村正氏でした。図案は、如意輪寺と紅葉する山桜を描いたもの(吉野の秋)と、吉野山の中心に位置する蔵王堂を背景に春の山桜を描いたもの(吉野の春)の2種類です。
切手のタイトルになった「太平記」は、14世紀ごろに書かれた軍記物語。後醍醐天皇の即位から、細川頼之の管領就任までの50年間を描いた全40巻の超大作で、日本の歴史文学の中では最長とされています。作者や正確な成立時期は不明で、一人の作者が一気に書き上げたというよりは、複数の人物が長期間にわたって編纂したと考えられています。
後醍醐天皇や楠木正成、足利尊氏、新田義貞などの歴史上の人物が、個性豊かに描かれていることから多くの物語僧に語り継がれ、江戸時代には講談として人気を博したほか、戦国時代から江戸時代の武将にとっては必須の兵法書としても読み継がれたそうです。
私は吉野というと桜と修験道のイメージが強く、太平記はあまりピンとこないのですが、それでも文句なしに、吉野山の美しさを浮き立たせた素敵な切手だと思います。
2010年の『郵趣』には「ふるさと切手原画作者への旅」というコーナーが連載されており、その第2回(3月号)に志村正氏が紹介されていました。
「自然」はテーマであり師匠
京都府出身の志村さんは、京都市立芸術大学で日本画を先行。1976年(昭和51)に日展と日春展に初入選以来、日本の美しい自然や風景を描く日本画家として活躍されています。1997年(平成9)には京都・高台寺圓徳院から依頼を受け、同院の襖絵も制作されました。
切手図案からも分かる通り、志村さんの作品で印象的なのが淡い色彩とタッチ。特定の“師匠”を持たなかった志村さんですが、その作風はモティーフにしてきた「自然」に教わったとおっしゃっています。それゆえ、「自然」を生涯の師匠とし、画業のテーマにされているとのこと。
この「吉野の春」は、桜を描いたふるさと切手の中でもとくに人気が高く、1991年の発行後、1995年には額面変更して再発行、さらに2009年にはふるさと切手初のシール式切手としても増刷され、話題となりました。私も大変気に入ってシートで購入し、春の便りを出していた記憶があります。なんといっても独特の優しい配色が心地よく、春霞の吉野らしさが表れていて、切手を見ているだけで、春めく吉野へトリップできそうです。
もう1種の「吉野の秋」も、暖かな柿色をした山桜の紅葉が見事で、実は吉野が紅葉の名所であることを物語っています。桜なので、いわゆるモミジの紅葉の時期より早く山が色づくのですが、春に比べると意外なほど人が少なく、本来の吉野の静けさを感じることができます。古跡を訪ねるならむしろ秋がベストシーズンといえるかもしれません。
ところでこの「吉野の春」と同様に、蔵王堂と桜を描いた切手が、実は以前にも発行されています。1970(昭和45)年発行の第2次国立公園切手の「吉野熊野」のうちの「吉野山のサクラ」です。
しかし、それよりもさらに前の1949(昭和24)年にも吉野熊野国定公園の切手が、戦後初の第1次国立公園切手として、4種セットで発行されています。この時は、2円獅子岩、5円大峯山、10円瀞八丁、16円橋杭岩のラインナップ。「吉野」の名の付く最初の切手でした。ところがその内容に郵趣家(※1)は不満だったらしく…。
T (前略)今度の公園は奈良・和歌山・三重の三県に跨る地域だけにその選択にも各県にわたつて取り上げやうと苦心されているのではないかと思ひますが、例によつて山岳美、渓谷海岸の風光に終始している傾向があるんではないでせうか。と云つて余り名勝絵はがき然としたのにも困りますが。
N これは私の素人批評ですが、先ず図案に新鮮味がないですね。Tさんの云はれるやうに日本の国立公園切手は概して、山や、川の遠景が大部分ですから毎回発行される国立公園切手から受ける印象は似たりよつたりになつて仕舞つているんです。この単調味を打破るに、私は各種の建物を大きくとり入れるとか人物とか草木樹木を近景にうまく配置する等の工夫をこらしたら、もつと有効になると思ふのですがどうでせう。もつともこれも度が過ぎると画面がゴタゴタし過ぎますが、適当にとりまぜたら面白いのではないでせうか。
M ドイツ、オーストリア、リヒテンスタインなどにありますね、そのような風景切手が。
N そうです。欧州の優秀な風景切手では、昔からこの点に注意が払はれています。たまには地図など入れてみるのも面白いと思ひますが。
M どうも旧来の形にこだわつている、と云ふ様にも思はれるのですが、一つは資料がないと云ふ点にもあるのではないでせうか。
O 私は吉野熊野国立公園を実際に見たことがないから図案選択についてかれこれ云ふ資格はないのですが、私達は小学校で「吉野の千本桜」と云ふことを教はつたんです。現在四十代の人なら恐らく吉野の桜を知らない人は皆無と云つても良いでせう。今度の図案にそれがないのは聊か淋しいですね。十円あたりにぜひ吉野桜が欲しいところではないでせうか。
S まつたくです。吉野と云ふ以上桜か、蔵王堂、如意輪寺など採用してほしかつた。Nさんの云はれたように建物を入れたらずつと面白くなつたと思ひますね。
O 私は又那智の滝が欲しかつたです。二円と十六円が海岸風景で重複していますから、どちらかに那智の滝を入れたらどうだつたでせう。(後略)(※2)
と、『郵趣』1949年5月号誌上の座談会でやり玉に挙げられています。
私は大峯山以外の場所には訪ねたことがありますが、いずれも自然の造形美が楽しめる場所で、切手を見ているだけで旅の記憶がよみがえります。しかし「吉野熊野」という国立公園の名にもある通り、吉野の桜の風景がやはり入るべきだったのでは、という意見は大いに理解できます。
こうした想いが通じたのか、1970(昭和45)年の第2次国立公園切手発行の際には、吉野山と那智の滝が採用され、ようやく「吉野熊野」らしい切手が出揃ったのです。けれど、1色刷りなので、いまいち桜の美しさ、春のうららかさが足りないもどかしさを感じます。
それを考えると、今回のふるさと切手の「吉野の春」は、42年越しの想いが実った、正真正銘、吉野の切手といえるかもしれませんね。
※1 郵趣とは「郵便趣味」の略語で、切手を集め楽しむ趣味のこと。こうした趣味を持つ人たちを郵趣家と呼びます。なお、(公財)日本郵趣協会が1946年から発行している月刊機関誌の誌名も『郵趣』といいます。
※2 読みやすさのために、旧字体の漢字は新字体に直しましたが、歴史的仮名遣いはそのままにしてあります。また座談会出席者の名字はアルファベットの頭文字に置き換えてあります。
世界遺産の寺社を巡りながらのお花見! お好みの柿の葉寿司も探してみて
では、吉野山のお花見に出かけましょう。
奈良県は、北端に東大寺や興福寺のある奈良市があり、南の3分の2ほどは森林地帯が占めています。吉野山はちょうど奈良県の中央部に位置し、最寄駅は近鉄吉野駅です。大峯連山から続く尾根に寺院や古跡が点在しており、桜を愛でつつこれらを訪ねるのが、吉野山観光の王道です。
前述したとおり吉野山は、下千本、中千本、上千本、奥千本とエリア分けされており、桜はふもとから徐々に咲いていきます。4月中旬くらいなら、山のどこかで満開を迎えていますので、見頃をそれほど気にせずとも花見を楽しめます。もちろん、今年のように、例年になく早いこともありますので、観光協会のウェブサイトの開花情報チェックは忘れずに。
山の斜面を桜を求めてあちらこちらへ。歩きやすい靴と温度調節ができる上着は必須です
吉野駅からは、ケーブルカーやシャトルバスを利用すれば効率よく回れますが、下千本から奥千本まで全部見る!と意気込むよりは、ポイントを絞った方が良いかもしれません。
というのも、春の吉野を4、5回訪れている私ですが、絶景すぎる桜に見惚れてしまい、欲張ってめぐらなくても良いじゃないか、という気分になってしまうのです。多くの人々を惹きつけてやまない吉野の桜を記憶に刻むなら、のんびり散策も良いのではないかと思います(あくまで個人の感想です)。
今回は、吉野駅からケーブルカーに乗って約3分の吉野山駅から散策を始めます。なだらかな上り坂には飲食店や土産物店が並んでいて、気になるお店をのぞきながら進んでいきます。吉野葛や塩漬けの桜を使った甘味や桜フレーバーのソフトクリームなど、お花見を盛り立てるスイーツに、お財布の紐がつい緩みます。花も団子も旅には欠かせないものですから、両方おおいに楽しみましょう。
さて、桜と並ぶ見どころといえば、やはり世界遺産の社寺でしょう。吉野山駅から徒歩15分ほどで、金峯山寺の銅の鳥居、そして仁王門を経て、蔵王堂が現れます。
木造の古建築としては、奈良・東大寺大仏殿に次いで二番目の大きさという蔵王堂は、吉野山の主のような存在感。内陣の巨大な厨子には、金剛蔵王権現立像が3体安置されています。秘仏ですが仁王門大修理勧進のため、ちょうど現在(2021年3月27日〜5月5日)、特別ご開帳をしています。私も一度拝観したことがありますが、火焔を背負い、逆立った髪と憤怒の表情、そして片足を上げた躍動感のある独特のポーズ、慈悲と寛容を表わすという青黒い色、そのすべてが有り難く、ひたすら心が震えました。上手くタイミングが合うようなら、ぜひ見ていただきたい秘仏です。
特別ご開帳をしていない時期には、切手に描かれた鎌倉期の高さ4mの木造蔵王権現立像を拝観することができます。かつて、奥の院の金峰神社近くにあった安禅寺の本尊でしたが、神仏分離により破却され金峯山寺に移されました。
なお、蔵王堂の西には南朝4代の皇居とされた吉野朝皇居跡があり、太平記の時代を忍ぶことができます。
金峯山寺を後にして少し山を登ると、世界遺産・吉水神社があります。義経が静御前と逃げ延びてきたのも、潜行した後醍醐天皇の行宮となったのも、秀吉が「醍醐の花見」の本陣をおいたのも、みなこの吉水神社。吉野の歴史の表舞台のような場所です。この辺りから見渡す山は桜・桜・桜…、一目千本の景観が広がります。
中千本エリアに入ると、如意輪寺、櫻本坊、竹林院などの古寺があります。如意輪寺は後醍醐天皇の勅願寺で、楠木正成の辞世の句が残されています。櫻本坊は天武・持統天皇の勅願寺で、神仏習合修験道場。聖徳太子創建と伝わる竹林院には千利休が作庭した群芳園があります。こうしてすぐそばに点在する古社寺でありながら成立は様々で、歴史が重層しているのが吉野山のおもしろさです。
吉野山随一の展望ともいわれる花矢倉からの絶景。尾根や谷を渡るピンクの帯が見事です
さらに山を登って上千本エリアへ。花見スポットの花矢倉を越えると、世界遺産・吉野水分神社があります。吉野水分神社は水の分配を司る神様を祀っていますが、「みくまり」が「御子守(みこもり)」と訛って、子宝の神様としても信仰されています。桃山様式の本殿や彩色彫刻が美しい華やかな神社で、枝垂れ桜との共演も見事です。
実は、私が行ったことがあるのはここまで。何度来ても、この辺りで時間切れになってしまい、奥千本の桜は見たことがありません。シャトルバスを使って先に奥千本まで行き、下りながら観光する手もあるので、いつかは奥千本を訪ねたいと思います。
奥千本には、修験道の修行場で藤原道長も祈願をしたという金峯神社、義経が弁慶たちと共に追手から隠れた義経隠れ塔、西行が隠棲した西行庵などがあり、世界遺産・大峯奥駆道へと続いていきます。
歴史的な謂れや様々な文学の舞台など、訪れる人の心の中にある吉野は千差万別。それぞれに目的の場所を求めて楽しんでほしいと思います。
さて、お花見といえば美味しいお弁当もなくてはなりません。吉野山で私が楽しみにしている味覚が、奈良県南部の郷土食である柿の葉寿司です。紀州の漁師が夏サバに浜塩をして吉野川流域の村に売りに行ったところ、ちょうど夏祭りの時期と重なり、以来祭りの御馳走として各家庭で作られるようになったと言われています。
サバのうまみと柿の葉の香りがとけあう柿の葉寿司。外で食べやすいお寿司なので、お花見のお供にも最適です
そのまま食べるにはしょっぱ過ぎる塩サバも、ご飯とともに手近な柿の葉で包んで押して寝かせることで、塩気がご飯にうつって絶妙な塩梅に。柿の葉には防腐剤の成分が含まれているので、夏場の押し寿司には最適で、先人の知恵には驚くばかりです。
吉野山にも数件の柿の葉寿司店があり、それぞれの家の味を守っています。いくつかのお店のものを買い、桜を見ながら食べ比べするのが、私の吉野の宴。ぜひ、皆さんもお好みの柿の葉寿司を探してみてください。
春の便りにぴったりの吉野山の風景印
今回の風景印(※1)は、金峯山寺蔵王堂のすぐ近くにある吉野山郵便局から、郵頼(※2)でいただきました。
下から仰ぎ見たような蔵王堂は屋根が反り返り迫力のある姿。対して桜と一目千本の山々は軽いタッチで描かれていて、おもしろい印影です。桜の季節に吉野を旅したなら、絶対誰かに手紙を書きたくなる風景印でしょう。
ちなみに、戦前に吉野郵便局(1962年に吉野山郵便局に局名変更)で使用されていた風景印は、楠木正成と如意輪堂の扉にサクラでした。「奈良と太平記」の切手にマッチングさせるなら、昔の印影の方がぴったりだったかもしれませんね。
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春の吉野山といえば、混雑は必至。吉野の宿に泊まらなければ、人の少ない時間帯にゆっくりと花見をするのは難しいのですが、宿は1年前から埋まってしまうほど予約も困難。ということで、私がおすすめするのは奈良市内など離れたところに宿を取り、始発の特急で向かうこと。早起きせねばなりませんが、喧騒に飲まれることなくじっくり桜と対峙できます。そして帰りの特急も必ず事前に予約しておくこと。山を歩き回ってヘトヘトなのに、満員列車に乗るのは避けたいですから、行き帰りの席の確保は万全にしましょう。
来年こそは、お花見旅ができると良いですね。
※1 風景印とは消印の一種で、風景入り通信日付印の略称。大きさは直径36ミリ。郵便局のある地域の名所旧跡や特産品、ランドマークなどが描かれています。手紙やはがきを出すときに、郵便局員さんに「風景印でお願いします」といえば、風景印を押して配達してくれます。また、はがき料金(2020年現在は63円)以上の切手を貼ったはがきや封書、台紙を用意して「風景印の記念押印」をお願いすれば、風景印を押して手元に返してもらえます。これを再び投函・郵送することはできませんが、記念品として手元に残すことができるので、風景印を集めることを趣味としている郵趣家もたくさんいます。
※2 「郵頼」とは、文字通り郵便を使って風景印を頼む方法。どこに風景印を押印してほしいのかを記載した指示書とともに、63円以上の切手を貼った台紙(封筒でも官製はがきでもポストカードでも可)と返信用の封筒(宛先と84円切手を貼付)を添えて郵送します。指示書は端的に、明確な文章を心掛けましょう。「〇〇郵便局 風景印押印 ご担当者様」宛で、どこに、どう風景印を押印してほしいのかを図示し、日付の指定があれば明記します。どうして貴局の風景印が欲しいのか、などの細かな理由を長々と記載する必要はありません。「郵頼」の対応は、郵便局員さんが業務の合間に善意でやってくれることなので、わかりやすい指示書が好まれます。
【参考文献】
・『郵趣』1949年5月号 日本郵趣協会発行
・『郵趣』1970年6月号 日本郵趣協会発行
・『郵趣』1991年10月号 日本郵趣協会発行
・『郵趣』2010年3月号 日本郵趣協会発行
・『もの知り切手用語集』改訂版第9刷 日本郵趣協会発行 2019年1月
・『風景印大百科 1931-2017 西日本編』日本郵趣出版発行 2017年5月
・『奈良のチカラ』 多田みのり著 現代旅行研究所発行 2007年4月
【参考ホームページ】
奈良県 吉野山観光協会 http://www.yoshinoyama-sakura.jp/
奈良県観光公式サイト なら旅ネット http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/
奈良県吉野町 公式ホームページ http://www.town.yoshino.nara.jp/
吉野ビジターズビューロー https://yoshino-kankou.jp/
金峯山修験本宗 総本山 金峯山寺 https://www.kinpusen.or.jp/
如意輪寺 https://nyoirinji.com/
吉水神社 http://www.yoshimizu-shrine.com/
吉野スタイル http://yoshinostyle.jp/index.html
日本のまほろば奥大和総合情報サイトまほなび http://www.mahonavi.com/